La luna di mezzanotte  真夜中ノ月

静かな時間に好きなコトをつぶやく

Mesmer(1994)・その2 集団療法について

先日見た映画「Mesmer」(1994)の紹介、その2です。

 

メスメルの集団療法について

1つ目。ウィーン時代の集団療法は外で行われています。

老若男女、メスメルの評判を聞きつけて、屋敷内まで押し寄せてきた貧しい患者達。

メスメルは彼らの手をつながせ完全な円を作り、そして、2カ所ほどは鉄の棒を持たせます。そのまわりをメスメルがグルグルまわりながら、何か唱えています(1回しか見ていないので覚えてない)。メスメルはずっと患者の円の周りをグルグルしながら、患者の身体(肩や頭部、背中)に触れ(おそらく「動物磁力」を送っていると思われます。「気」のようなものでしょうか?)、興奮状態(けいれんを起こしたり、悲鳴をあげたりする)を作ってから、それを治めていくという方法でした。患者達の興奮は治まりますが、患者の中の数人が期待していた症状の軽減や治癒がもたらされなかったので、メスメルに怒りをぶつけて、去っていきます。残されたメスメルは落ち込んだ表情を見せ、声をかけてきた妻に対して「一人にしておいてくれ」と言い放ちました。

 

集団療法2つ目。

ウィーンを追放された後に行ったパリにて。フランス革命が起こる少し前でしょうか?城の外を歩く貴族階級の人が映ります(エンドクレジットを見ると、マリーアントワネットとありました!)

パリの社交界で、メスメルは大変人気があった様子。美しく着飾った女性達が、パリ時代のメスメルの「患者」でした。使用する装置は祖末な鉄の棒ではなく、大きな桶の中に何本もの棒が入っているもの。桶には水が張られています。女性達は桶の周りに座り、鉄の棒を持っています。メスメルはその周りをグルグルまわりながら、何事かを唱えます。「女性達の肩に触れながら」なのですが、そのときの女性達は肩まで出るようなドレスを着ているので、直接メスメルは女性の肌に触れているのです。女性達のグループは興奮して失神したり、悲鳴をあげたりします。

昔の上流階級の女性には「素敵な殿方の前で失神するのが、可愛らしい女性を演出するポイント」みたいな風潮があったようですので、なおのことこの状態に陥りやすかったのかなと思います。

このときの集団療法が上手く行ったのか行かなかったのかは、最後まで描写がなかったので、イマイチわかりませんでしたが、メスメルは社交界で自分の説の理解者を獲得したようでした。

 

ある療法に関して、対象となる患者は選ばないといけないんだなぁ、としみじみ感じました。ウィーンの集団療法の患者たちは、不衛生(衛生的な概念はもっと後々になってでてくるのか)で、明らかに負傷して(そして傷口も汚れている)目が見えなくなっている人、精神疾患をすでに発症してしまっているような人、知的障害者などが混じっているようでした。それに対してパリの患者達は、上流階級で不自由のない感じです。どこも身体的に悪いところもなさそうで、話が他者とできる知的レベルの、一見健康そうな人々ばかりでした。適用範囲を患者とメスメル自身の双方の経済的な理由からも選んだのでしょうが、治療が上手く行くかどうかは患者の病態水準によって決まるよな、という印象(当たり前といえばそうだけど)。

 

☆☆☆

この集団療法のシーン、見ているこちらも興奮します。メスメル役のアラン・リックマンの、あの低いベルベットボイスで囁かれて、肩を直接触られるかと思うと、もう興奮しますよ。アランは歩きまわっているだけで色気があります。上品なセクシーさが

……(以下、放送禁止用語が出てしまいそうなので、自主規制しておきます)。

時々、芝居がかってクルっと振り向き、手をまっすぐに伸ばしてから、話し始める様子はハリーポッターのスネイプ教授を彷彿とさせて、クスッと笑ってしまいます。

 

メスメルの集団療法についてはこれでおしまい。

次はメスメルの人物像について。